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大分地方裁判所 昭和40年(わ)62号 判決 1967年9月22日

本店

大分県別府市大字別府一九五番地の二

株式会社西部電機

右代表者代表取締役

木崎等

本籍

大分県別府市大字浜脇一、一四一番地の二

住居

同市大字別府一九五番地の二

会社役員

木崎等

明治四五年一月二〇日生

右の者等に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官皆廻尚史出席の上審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社西部電機を判示(一)の罪につき罰金七〇万円に判示(二)の罪につき罰金五〇万円に、

被告人木崎等を懲役四月に、

それぞれ処する。

ただし、被告人木崎等に対しては本裁判確定の日より二年間右刑の執行を猶予する。

理由

罪となるべき事実

被告人株式会社西部電機(以下被告会社と略称する)は肩書地に本店を置き、電気工事並びに水道工事の請負等を営業目的とする資本金二、〇〇〇、〇〇〇円の株式会社であり、被告人木崎等は被告会社の代表取締役として同会社の業務一切を総括している者であるが、被告人木崎等は被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

(一)  昭和三六年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の所得金額が金九三三六、八一三円で、これに対する法人税額が金三、四二八、四一〇円であるにも拘わらず、正規帳簿に架空の仕入、外註費等を計上して除外した金員をもつて自己及び家族名義の土地を買受ける等の不正な方法によりその所得の一部を秘匿した上、昭和三七年二月二八日、所轄別府税務署長に対し、同事業年度の所得金額が金一、〇三六、八一三円でこれに対する法人税額が金三二四、一四四円である旨虚偽の法人税確定申告をなし、よつて正規の法人税額との差額金三、一〇四、二六六円を逋脱し、

(二)  昭和三七年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の所得金額が金七、六五二、三五七円でこれに対する法人税額が金二、五四三、一一〇円であるにも拘わらず、前同様の手段方法によつてその所得の一部を秘匿した上、昭和三八年二月二八日、所轄別府税務署長に対し、同事業年度の所得金額が金一、九五一、四二九円でこれに対する法人税額が金六〇七、九六二円である旨虚偽の法人税確定申告をなし、よつて正規の法人税額との差額金一、九三五、一四八円を逋脱し

たものである。

証拠の標目

一、判示事実全部について

一、第一回公判調書中被告人兼被告会社代表者木崎等の供述記載

一、大蔵事務官の被告人木崎等に対する各質問てん末書及び同被告人の検察官に対する各供述調書

一、大蔵事務官の石本里子、清水民子に対する各質問てん末書及び石本里子、清水民子の検察官に対する各供述調書

一、大蔵事務官の木崎隆司に対する質問てん末書及び木崎隆司の検察官に対する供述調書

一、被告会社の逋脱税額確定のための諸計算に関する大蔵事務官作成の説明書

一、大蔵事務官の秋吉司に対する各質問てん末書及び秋吉司の検察官に対する供述調書

一、大分地方法務局及び大分地方法務局別府出張所登記関係調書

一、株式会社西部電機の登記簿謄本

一、押収してある法人税決定決議書綴一冊(昭和四〇年押第四七号の36)

判示(一)の事実について

一、大蔵事務官の石坂一馬、後藤福夫、松川イ子に対する各質問てん末書

一、松下電工株式会社九州営業所作成の「西部電機(株)入金表」と題する書面

一、別府信用金庫南支店長作成の代金取立手形記入帳写及び割引手形元帳写

一、別府市大字鶴見字下田井二八番二、同所二七番の登記済権利証写

一、押収してある振替伝票写二五綴(昭和四〇年押第四七号の1ないし4、7ないし15、18ないし27、29及び30)、同二冊(同押号の16、17)、買掛台帳第五期一冊(同押号の5)、総勘定元帳第五期一冊(同押号の6)、手形受払簿(昭和三六年分)一冊(同押号の28)、銀行勘定帳(昭和三六年分)一冊(同押号の31)、金銭出納帳(昭和三六年分)一冊(同押号の32)、不動産売買契約書(売主後藤柳太郎)二通(同押号の33、34)、手帳一冊(同押号の35)

判示(二)の事実について

一、大蔵事務官の鳥実専二、藤原義則、桜木勝海、有住末雄、後藤四郎、中川清市に対する各質問てん末書

一、松下電工株式会社九州営業所作成の「西部電機(株)入金表」と題する書面

一、栄工業株式会社の被告会社に対する売掛台帳写、九州新菱冷熱株式会社の被告会社に対する売掛金、未払外注費台帳写及び東浄水機械工業株式会社九州出張所作成の被告会社に対する取引高証明書

一、株式会社西日本相互銀行別府支店作成の証明書二通

一、押収してある振替伝票一七綴(前同押号の37ないし39、41ないし54)、総勘定元帳第六期第七期各一冊(同押号の40、57)、買掛金台帳(第六期)一冊(同押号の55)、不動産売買契約書(売主後藤寿美子)一通(同押号の56)、同(売主木崎等)一通(同押号の58)、本日記伝票綴一冊(同押号の61)、金銭出納帳二冊(同押号の62、63)

(法令の適用)

被告人両名の判示各所為中(一)の所為は昭和四〇年法律第三四号法人税法附則第一九条、昭和三六年一一月一六日第二三〇号法人税法第四八条第一項、第二一条第一項本文(被告会社につきなお同法第五一条第一項)に、判示(二)の所為は昭和三七年四月二日第六七号法人税法第四八条第一項、第二一条第一項本文(被告会社につきなお同法第五一条第一項)にそれぞれ該当するので、被告会社については所定罰金額の範囲内において、同被告会社を判示(一)の罪につき罰金七〇万円に、判示(二)の罪につき罰金五〇万円に、被告人木崎については、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから、所定刑中懲役刑を選択した上、同法第四七条本文、第一〇条により犯情重い判示(一)の刑に併合罪加重し、その刑期範囲内で同被告人を懲役四月に処し、なお諸般の情状により同法第二五条を適用して本裁判確定の日より二年間右刑の執行を猶予することとする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 富川盛介 裁判官 吉武克洋 裁判官田川雄三は転任につき署名捺印することができない。裁判長裁判官 富川盛介)

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